JALでは2021年にドローンと空飛ぶクルマを活用したビジネス創造に特化したエアモビリティ創造部を立ち上げ、以下に述べる2つのプロジェクトを進めています。どちらのプロジェクトも、長年の旅客機の運航で培われた、空のプロフェッショナルとしての視点とノウハウを活かして、安全・安心なエアモビリティオペレーションを実現し、豊かでサステナブルな社会の実現を目指すものです。JALエアモビリティ創造部が掲げる「サステナブルな社会を実現すること」とは、「世界中のヒト・モノ・コトの距離を縮め、豊かな社会を実現すること」です。
環境に優しく機動性の高い「空飛ぶクルマ」を活用したサービスを創出します。空港を起点とした移動手段や観光利用だけではなく、救急時の医師搬送や災害時の対応なども想定し、2025年度の事業化を目指しています。
・長年培ってきた航空機の安全運航堅持に関わる知見と、運航管理ノウハウを活用し、空飛ぶクルマの機体メーカーや国内外の関連企業・関係省庁・自治体等と連携しながら、事業性や運航方法の検討を進めています。
・「空をもっと身近に感じてもらう」ために、安全・安心に飛行できる運航体制の確立、および機体の選定や利便性の高いサービスの提供へ向けた検討を行っています。
2020.2
空飛ぶクルマを開発しているVolocopterGmbHの日本進出に向けた支援および、日本におけるeVTOL社会実装を目指した取り組みを共同で推進することを目的とし、業務提携を締結
2021.8
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業「空飛ぶクルマの線調査研究」に採択され、「海外における空飛ぶクルマの実証事例調査」および「空飛ぶクルマに関するオペレーション体制・事業モデル調査」にて日本における実証実験計画案やオペレーション体制案を調査/検討
2021.10
大阪府の公募事業「空飛ぶクルマの実現に向けた実証実験」プロジェクトに採択される。2025年度に開催される大阪・関西万博の会場予定地である大阪市の夢洲周辺を空から眺めるVR映像を作成。遊覧飛行や、会場と関西国際空港などを結ぶエアタクシーサービスを検討
2022.1
三重県での実証実験実際に空飛ぶクルマを飛行させる際の有望ルートとして検討している4つのルートをヘリコプターで飛行し、オペレーション体制や今後の課題などを検討
ヘリコプターによる実証実験に加え、実際に空飛ぶクルマを用いた実証実験を各地で進めていきます。地域の特性と用途にあった機体の選定を行い、空をもっと身近に感じてもらえるような豊かでサステナブルな社会の創出を目指します。
離島や中山間地、都市部、それぞれが抱える物流を中心とした課題や、災害時の緊急物資の輸送等をドローンを使って解決すべく、2023年度の事業化を目指しています。
・長年培ってきた航空機の安全運航堅持に関わる知見と、運航管理ノウハウを活用します。
・課題を抱えた地域の行政や、国内外のドローンに関する様々な業種の企業と連携することで、地域課題を解決し、将来の「ドローンを活用したより豊かで持続可能な社会の実現」に向けて、オペレーション体制やビジネスモデル構築を進めています。
2020.8
東京都のドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクトが採択され、JALは医薬品物流を中心に参画
2020.10
無人航空機オペレーター人材育成プログラム・JAMOAを開始
2021.10
奄美群島サステナブルプロジェクトを始動
2021.11
兵庫県洲本市でドローンレベル4運航を見据えた実証実験→日本初の人口集中地区での橋梁7つを越える飛行に成功
2021.12
米国テキサス州にて、住友商事・Bellと共に大型ドローンの実証実験を実施
2022.2
KDDIとドローンの社会インフラ化に向けて協業することを発表
2022.2
都内初、隅田川にて永代橋などの、大橋を横断した医薬品配送の実証実験に成功
2023年度の事業化に向けて、奄美群島などを舞台に、より地域社会や関連企業との連携を深め、 ドローンの社会実装を進めていきます。ドローンによる医薬品や日常品の輸送、災害時の利活用を実現し、豊かでサステナブルな社会の実現に貢献していきます
JALは、気候変動への対応として2020年6月に、「2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指す」ことを発表しました。 「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の実行に向けて、JALグループは、CO₂排出量削減に向けて以下のようなことに取り組んでいます。 ・国内企業と業界横断的な連携を行い、バイオジェット燃料を原料から製造・搭載まで日本国内で完結させる仕組みの構築 ・日々の運航で行える、飛行中の空気抵抗の削減や地上移動時の片側エンジン停止などの工夫 ・省燃費機材であるエアバス A350型機などの導入 また、2021年2月には、衣料品の綿から国産技術のみで日本初の国産バイオジェット燃料を製造し、厳しい基準にクリアして、国内線定期便に搭載しました。
下の写真は、最近リニューアルした「SKY MUSEUM」です。今回は特別に見学させていただきました!実際に整備のお仕事をなさっている方のお話も聞けて、楽しかったです。
エアラインを支える主な5つの仕事には、「航空整備士」「グランドスタッフ」「グランドハンドリング」「フライトアテンダント」「パイロット」があります。今回はそのうち航空整備とグランドハンドリングに関してレポートしていきます!
航空整備士は、安全な空の旅のために機体の整備や点検、修理を行うスタッフのこと。SKY MUSEUMでは、現役の航空整備士が仕事内容とやりがいについて語る動画を見ることができるだけでなく、修理道具やタイヤ、エンジンの実物も飾られているので、飛行機が一層身近に感じられます。
飛行機の部品数は数万個に及び、それを扱う工具の数も数え切れないほど多くの種類があります。工具は図のように工具のシルエットが彫られたケースに収納されており、無い工具があればすぐにわかるようになっています。もし工具が無くなった際は総動員で探すそうです。紛失を防ぐために、工具を使用する際は毎回バーコードをスキャンし、いつ誰がどの工具を使用したか記録に残るようになっています。
飛行機の心臓部であるエンジンも鑑賞することができました。ボタンを押すことで、実際にエンジンが回っているところを観察できます。航空宇宙工学科で実際に学んだエンジンの仕組みを生で見ることができ、貴重な体験になりました。
私たちが安心して飛行機に乗ることができるのは航空整備士が徹底した整備や点検をしてくださっているおかげであり、感謝しなければならないと実感しました。
飛行機の整備には、運航整備、A整備、C整備、M整備の4種類の整備があります。 運航装備は飛行機が到着してから次の目的地に出発するまでの間に行う整備で、出発する飛行機が安全に飛べることを確認します。 A整備は約500時間(1ヶ月〜2ヶ月)の飛行ごとに約6時間かけて行われる整備で、可動部分にグリスを注油したり、フィルター交換、エンジンなどのシステムに不具合がないか調べます。 C整備は約1年半ごとに7〜10日間かけて行われる整備で、エンジンやさまざまなシステムを細かく調べたり、部品の取り替えを行ったりします。 M整備とは6〜8年ごとに1度、1ヶ月かけて行われる整備で、シートや内装を全て外し、隅々まで調べます。機体を再塗装することもあります。 このような何段階もの整備、点検がJALの飛行機の安全運航を支えているのです。
グランドハンドリングは、地上での飛行機の誘導、貨物の積み込み、飲料水の補給作業などを行う地上スタッフのこと。整備士とは制服が異なります。 以下にグランドハンドリングの方の主な仕事内容を紹介します。
地上誘導
主にトーイングとマーシャリングの二つがあります。トーイングは専用の車両を使い飛行機を牽引すること、マーシャリングはパドルと呼ばれる専用の札やライトを振ることでパイロットに合図をし飛行機を正確に駐機できるよう誘導します。
貨物の積み込み
手荷物をコンテナに入れ、飛行機に積み込む。コンテナの角が切られているのは飛行機の胴体の丸い形に合わせているため。バーコードを読むとコンテナ番号が表示されました。徹底した荷物管理がなされている証拠です。また、一つだけ黄色いコンテナもあるそうです。出くわしたらラッキーですね。
飛行機が駐機スポットから離れるときに3人の地上スタッフの方が手を振ってくれることが多いですが、ほとんどの場合、2人がグランドハンドリングスタッフ、1人が整備士の方。JALでは、グランドハンドリングスタッフの制服は黒とオレンジの制服で、整備士とは少し異なっています。次に飛行機に乗るときにはよく見てみると面白いかもしれません。 意外に思われるかもしれませんが、乗客が手を振り返すとちゃんと見えていて、とても嬉しい気持ちになるそうです。晴れていて眩しくても窓のシェードを閉めずに、両手で手を振り返してあげましょう!
フライトログブック(またはテクニカルログブック)とは、飛行機の安全な運航に欠かせない記録・引継ぎ用のノート。実際に空を飛んでいるときはパイロットの管理下にあり、地上に戻ってきて整備に入ったときは、航空整備士の管理下に置かれます。 2019年からは電子フライトログの運用も始まり、ボーイング737-800型機とエアバスA350型機では紙媒体は使わずにタブレット端末に記録し、サーバー上でデータ管理をしています。必要に応じていつでもリアルタイムで参照できるようになっているので、巡行中に不具合があった場合などに、地上の整備士などがその情報を受け取って、着陸後の整備の準備をすることもできるようになりました。
JALグループの歴代の飛行機12機の1/50模型が、一列に展示されているブースがありました。1/50の縮尺で統一されているので、年を経るごとの飛行機の大型化が実感できます。また、同じ運航目的のために作られた飛行機でも、BoeingやAirbusなどのメーカーによって設計思想が異なります。その結果、翼の端のウイングレットのデザインや後退角(主翼の後方への傾き度合い)、主翼の付け根部分の長さなどに違いが見て取れる点も、模型を見る楽しさの一つではないでしょうか。
並んでいる飛行機の名前一覧(写真手前から)
SKY MUSEUMでは、実際に使われていたコックピットに搭乗することができます!
少し古い世代のコックピットの模型なので、計器の表示は針方式ですが、現在の最新旅客機ではモニター式になっているとのことです。コックピットの全面ガラスはハーフミラーのようになっていて、中から外は見えますが、外から中はほとんど見えません。また、飛行機の操縦で重要な自動操縦や電源系統、油圧系統などのスイッチは、台座が明るい灰色となっていて、目立つ工夫がなされています。
羽田空港でJALが飛行機を格納・整備しているM1格納庫とM2格納庫を見学させていただきました。飛行機がとても身近に感じられて、迫力満点でした!
この格納庫は、飛行機4機くらいが入る中くらいのサイズ。ここにいた飛行機を紹介します。
No. 2ベイに駐機し、垂直尾翼の鶴丸を金色の特別塗装から通常塗装に塗り直す作業が行われた直後でした。
C整備中でNo. 1ドッグに入っています。エンジンのカウルを外して整備したり、客室内のシートや内装を外したりして、隅々までキレイにしています。
この格納庫は、M1よりも大きく、飛行機のサイズにもよりますが6機くらい入れます。 ここにいた飛行機を紹介します。
飛行中に右主翼先端部分に落雷を受けたため、修理中でした。
整備のために取り卸したジェットエンジン。航行の安全に直結するパーツであることやエンジン自体の価値が非常に高いことから、整備の際は特に気を遣います。
以上、SKY MUSEUMと格納庫の見学レポートでした!お楽しみいただけたでしょうか? 一般公開された際には、ぜひ足を運んでみて下さい!最後までお読みいただきありがとうございました😃